要旨:一般的に教養教育は二つの意義がある。ひとつは大学(学部)で専攻にとらわれず、広く深く学術の基礎を学び人間性を涵養する課程である。もうひとつは全人教育を意味する。つまり、知識・技能教育に偏することなく、感性・徳性なども重視して、人間性を調和的、全面的に発達させることを目的とする教育である。
本稿では、日本の大学における教養教育をめぐって、その定義、経緯、改革、問題点などを分析し、中国の大学の母語教育への示唆を自分なりに述べてみたい。日本の大学における教養教育は、アメリカの影響を受けた戦後の学制改革による新制大学の発足にあたり、導入されたものである。その後、教養教育をめぐる多くの検討や改革など行ったが、特に1991年の大綱化の影響が一番強かった。多くの大学はカリキュラム改革に取り組み、教養部は一気に解体された。柔軟性がある教養教育は次第に受け入れられている。しかし、その改革の過程で、存在している問題を軽視してはいけない。最近、教養の欠如や低下など注目されている。教養の向上、形成を課題としてきた大学における教養教育もスリム化、矮小化など傾向が強くなっている。
しかし、様々な問題があるが、日本の教養教育の改革は中国の大学への示唆が否定できない。特に、課程設置、教学内容、教学組織の改革など方面から中国の大学の母語教育への示唆を検討してみたい。
キーワード:教養教育;教養部;母語教育;示唆
目次
要旨
中文摘要
第1章 はじめに-1
1.1 本論の研究目的と意義-1
1.2 先行研究について-1
1.3本論の研究内容-1
第2章 教養教育とは何か-3
2.1 本論の用語の定義-3
2.2 教養教育の由来-4
2.3 教養教育の経緯-5
第3章 日本の大学における教養教育-7
3.1 教養部の廃止-7
3.2 現在の教養教育の問題点-7
第4章 教養教育から母語教育にもたらされる示唆-11
4.1 母語教育と教養教育の比較-11
4.2 これから母語教育のあり方-13
第5章 おわりに-17
5.1 まとめ-17
5.2 欠点と今後の展望-17
参考文献-19
謝 辞-20