要旨:擬声語は日本語特有の表現であると言われている。動物の声や自然界のもろもろの音,または、およそ物の発する音を模写して、音声象徴によってつくられたものは擬声語と呼ばれる語である。擬声語は現代言語記号の一つの特徴の恣意性の端的例に考えられる。
でも、耳も音源も同じであり、人間の発声器官の構造も同じであるはずなのに、その音の模倣において、言語によって違いが見られるのはなぜだろう。したがって、本稿では四つの部分に分けて、論説を展開していく。まずは日中両国語における擬声語の定義及び先行研究を述べた。次に両国の擬声語全体の対照研究を行い、動物の鳴き声を中心としたの比較検討をした。最後は両者の相違を生ずる要因を詳しく分析を試みてきた。
研究結果として、音韻の面で六つの異同点を、意味の面で日中両国語それぞれの特徴をまとめた。そして、前述した分析に基づき、結論として、ある音を母国語とする時、母国語の干渉は、無意識のうち、音源の模写に影響しているわけであるということが明らかになった。
キーワード: 擬声語;鳴き声;日中両国語;言語学;動物
目次
中文摘要
要旨
第1章 はじめに-1
第2章 擬声語とその先行研究-3
2.1 オノマトぺと擬声語-3
2.2 日本と中国における擬声語へ-4
第3章 日中両語における擬声語全体の対照研究-5
3.1 数量-5
3.1.1 日本の作品で擬声語が多用される-5
3.1.2 中国作品に出た擬声語-5
3.2 形態-6
3.2.1 1音節を語基に持つもの-6
3.2.2 2音節を語基に持つもの-6
3.2.3 3音節以上の語基を持つもの-8
第4章 日中両語における動物の鳴き声を描写する擬声語の対照研究-9
4.1 発音対照研究-9
4.2 共通性と特殊性の検討-10
4.3 異同点に関する要因分析-12
第5章 おわりに-13
参考文献-15
謝 辞-16