要旨:日本の文化は複雑で、可変性の高いことが世界でも認められている。 その中において、「道」という概念は、本質的には仏教の観念にとり込まれた日本民族意識の産物である。 仏教の「禅宗」の学説は日本伝来後、広く伝播し、日本の民族意識に大きな影響を与えた。 「禅」の理念は「求道」の形式と相まって、日本文化の中に、豊富多彩な「道」の文化を生ぜしめた。 例えば、茶道、花道、剣道などである。 道と言うのは規則、倫理、形式で、よく修練しなければ理解できない最高の心身の境界である。 道の過程はきりがないものである。 しかし、茶道といえば割合に知られているが、日本の花道についてはあまり知られていない。 実際には、花道は日本の伝統文化の一つとして、中国の京劇のような立場にあたるものである。 茶道と花道は日本文化の至宝で、両者は互いに異なる形式をとりつつ、日本独自の民族文化の共通的特徴を示している。
日本民族は、よく他国の文化を自国の特徴によって、自分独自の文化に再創造することにたけている。 茶道と華道の両文化は、中国の茶道と華道に基づき、これに哲学、宗教、文学、倫理、道徳、絵画、建築などを融合・変容させた総合的な文化である。 茶道と華道には根底において相通ずるものがある。 それは仏教であり、特に禅宗とは密接不離の関係がみられるのである。
キーワド:茶道、華道、仏教、禅宗、道教