要 旨
羅貫中の『三国演義』という歴史小説について、中日両国では、今までどういう視点から読まれてきたか、その日本と中国での受容のあり方を考察し、中日対照によって、それぞれの資料から日本人と中国人の違った「三国観」をみることができると考えた。そして、その三国観と中日両国の伝統文化とを結びつけて、中日両国の文化異同を見出し、それを踏まえて、中日の忠義観思想を中心に、より深く両国の文化の異同を研究するというのが、本論文の目的である。中国では『三国演義』と呼ばれだが、日本では、『三国志』と呼ばれる。研究の利便のために、本文においては、統一して『三国演義』と呼ぶことにする。
キーワード:『三国演義』 忠義観 文化異同 武勇 翻案小説
目 次
要 旨
中文摘要
はじめに-(1)
第一章 小説『三国演義』の日本受容-(2)
1.1『三国演義』の日本伝来-(2)
1.2『三国演義』の中日両国の違い-(3)
第二章『三国演義』の成立の時代背景-(5)
2.1明清時代の『三国演義』の影響-(5)
2.2日本の江戸町人の受容-(5)
2.3『三国演義』の現代社会への影響-(6)
第三章 『三国演義』における「忠義」思想-(8)
3.1中国人からみる「忠義」と「侠気」-(10)
3.2日本人からみる「忠勇」と「武勇」-(10)
3.3文化異同の中日対照-(12)
3.4 文化異同の歴史的な原因-(13)
おわりに-(14)
参考文献-(17)
文献综述-(18)
謝 辞-(20)