要旨:明治時代に数多くない女性作家の中で、樋口一葉は最もさん然と光を放っている存在であり、「明治の紫式部」と見られる。25年の短い人生の中で、貧乏と病気と闘いながら、文学性といい芸術性といい、同時代の作家が及ばない優れた作品を次々と世に出した。その中で最も一葉の代表的な作品と思われるのは『たけくらべ』である。『たけくらべ』は吉原遊廓を舞台として、人生の喜怒哀楽に満ち溢れ、さまざまな感情を混ぜている少年少女の世界を描いている。そして、女性主人公の美登利を代表として多くの女性像を描いてくれた。
本稿では『たけくらべ』の女性像を分析しながら、作者の人生も参照にし、明治時代なりの社会環境を背景にした近代日本女性の社会地位と運命を研究した。「明治維新」は大なたを振るう改革が行われたが、女性解放に触れておらず、近代の日本女性らは依然として従来の封建的家父長制度や公娼制度などに圧迫されていた。また、彼女らは近代的思想が欠如したため、公娼制度の存在を黙り、道徳より金銭を大事にし、遊女と普通の女に関わらず、みんなはこの時代の悲劇であった。
キーワード:樋口一葉、『たけくらべ』、近代、日本女性、社会地位
目次
要旨
中文摘要
第1章 はじめに-1
1.1研究の背景と内容-1
1.2先行研究について-2
1.2.1日本における研究-2
1.2.2中国国内における研究の現状-2
第2章 一葉の文学の道と『たけくらべ』-5
第3章 『たけくらべ』について-7
3.1時代背景と社会環境-7
3.1.1明治時代-7
3.1.2吉原という遊廓の環境-7
3.2『たけくらべ』の物語-8
第4章 『たけくらべ』に見る女性像-9
4.1商品になる女性たち-9
4.1.1美登利の姉----大巻-9
4.1.2美登利-9
4.1.3信如の姉---阿花-10
4.2現状に従う女性たち-11
4.2.1阿花の母親-11
4.2.2美登利の母親-11
4.3吉原付近に暮らしている女性たち-12
第5章 終わりに-13
参考文献-15
謝 辞-16