要 旨:周知のように、『たけくらべ』は樋口一葉の最も代表的な作品である。吉原界隈、東京下町の少年少女たちの生活、特に遊女になるべき美登利と、いよいよ僧侶になる定めの信如との、淡く密かな恋を詩情豊かに描いている。しかし、この作品は単なる少年少女文学でもなく、恋愛小説でもなく、現実批判の要素も備えている。
本文では、「舞台としての吉原と大音寺前」、「大人の世界に対する子供たちの心理状態」、「子供間の淡い恋」という三つの点に注目して、作品の世界を検討した。子供自体の世界は偽りのない、また作り物のない純粋な世界であるべきはずなのに、吉原遊廓地という特殊な環境で生活しているゆえ、いつの間にか、子供たちは大人の論理を早くから身に着けた。彼らはそれぞれ自分の宿命を背負っている。それに反抗しようとしても、残酷な現実の前に、諦めなければならない。結局、子供たちは大人の世界の論理に反発しつつ、同化されてしまう。短い一生の間に生活の重圧に喘いでいる作者一葉は、これらの登場人物たちの内に、自分の体験や思想をこめている。彼女の表現しようとした人生の真相は抑えられた筆致の中に、鮮やかに浮かび出てくる。『たけくらべ』は詩情豊かな描写と現実批判な思想の両方を一つの作品に融合された傑作であり、作者一葉なりの作品である。
キーワード:子供世界 大人世界 心理状態 恋 現実批判
中文摘要: 众所周知,《青梅竹马》这篇小说是作家樋口一叶最具代表性的作品之一。它描写了生活在明治时期的吉原这一红灯区周围的少男少女的生活。作者在描写将要成为艺妓的美登利和即将遁入佛门的信如之间的初恋时,字里行间充满了诗情画意,给整部作品染上了一层淡淡的哀愁。但是,它绝非是一般意义上的少年文学或爱情小说,而是一部批判现实的作品。
孩子们的世界本应该是纯洁无瑕的,但是因为生活在吉原这一红灯区周边的特殊环境,耳濡目染,他们早早的便熟知了成人世界的生活规则。他(她)们虽然有自己的美好理想和爱情,但是客观的家庭和社会让他们背上了无法主宰自己命运的悲剧。他(她)们企图与命运抗争,可是在残酷的现实面前又是那么的无奈和力不从心,不得不对现实低头。结果,他(她)们只能是一边反抗着成人世界的生活规则,一边又无奈的被其同化。其实,作品中的主人公美登利的命运正是作者桶口一叶自身命运的真实写照。她出身于没落仕族家庭,在不断地与贫困生活的抗争中,艰难的度过了短短的25个春秋就离开了人世。因此,在这些孩子的身上,她寄予了自己的切身体验和真情实感。柔婉的笔触之中,自然流露出作者自己对人生的感伤。小说将充满诗意的忧伤和批判现实的思想有机地融为一体,堪称最具桶口一叶个人特色的杰作。
本文在汲取前人丰富的研究成果之上,从以下三个方面切入,对作品的主题进行了探讨。(1)作为舞台的吉原和大音寺前;(2)孩子们对成人世界的心理;(3)孩子们之间的纯真挚爱。
关键词 : 孩子世界,成人世界,心理状态,纯爱,现实批判