要旨:周知のように、太宰治という作家は日本現代文学には「無頼派」作家である。生きているうちはもっぱら奇矯な作家として知られ、彼の死の前後から数多くの読者に熱愛された。伝説的な奇跡という形容さえ使うほどの異質の文学者としてさえ感じられる。「太宰文学」は昭和文学の不滅の金字塔を確立すると言われている。その中から、「太宰文学」の影響の深さと広さが、はっきり見えると思っている。
太宰治の作品で、注目される点の一つは、多くの作品の中で「死」、「罪」などがよく見えることである。それは「太宰文学」なりの独特の特色である。しかし、『走れメロス』は中期の明るい健康的な面を代表する短編で、一挙に太宰治以前の作品の陰気な格調を打ち破り、珍しく素直に、健全な人間性を打ち出す。積極的な格調で人間の美しさの一面、人間の信頼と得難く貴重な友情の美しさ、圧制への反抗が簡潔な力強い文体で表現される。
具体的に以下の点に表現される。
1)人々の「正義」代表であるメロスと「邪悪」代表である王は人間には「誠実」が存在するかしないかをめぐって、激論を行った。最後に、人民の忠誠を疑う王はメロスとメロスの友達セリヌンティウスとの信義と友情にうたれて負けていた。二人の姿の前に暴君ディオニスも自己の非を悟り、人間不信の心が解けるのだった。「信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。」
2)メロスの「願ひ」を聞いた、セリヌンティウスはなんの抵抗の言葉もなく、騒ぎもせず、怒りもない、すぐ承諾した。二人の友情は、まずセリヌンティウスに側から示された。これは美しい友情である。セリヌンティウスが誠実に生きる男なのである。真の友情は死生の境に臨んでも、疑いもない、信用する。二人の友情によって人間には誠実が存在することが明らかにする。
3)メロスは友達の運命を賭けて、自分の唯一の妹の結婚式を行った。ここでのメロスは平凡な人に過ぎない、幸せな家庭を築きたい、親い人々に対する未練な感情を持っている。
『走れメロス』の中に「自我意識」がよく見えて、それによって、太宰治は人間性の純粋と美しさとを求めつつけることが示されている。
キーワード:自我意識 正義と悪 誠実 人間性 不信
中文摘要:众所周知,太宰治是日本现代文学“无赖派”的代表作家。他那独特的“自我毁灭”式文学,反映了日本现代社会中人们的颓废和厌世精神,在日本文坛被称作是“昭和文学不灭的金字塔”。他那传奇式的人生经历和与生俱来的细腻的情感,以及充满矛盾的心态,形成其独特的风格,使“太宰文学”在题材上呈现多样化。太宰的大部分作品中,经常会出现“死”、“罪”之类的话题,从而使他的作品主题蒙上了一层灰色的基调。
但是《快跑吧!梅乐斯》这部作品,以其独特的创作风格一举打破了太宰治作品以往那种灰色、沉闷的基调,以一种积极向上的精神向我们展示了人性美的一面;展示了亲情、友情的可贵;体现了太宰治对诚实的人性美的追求。它具体表现在以下几个方面:
1)代表“正义”的梅乐斯与代表“邪恶”的国王之间围绕人间是否存在真诚展开了激烈的争论,作品中通过梅乐斯和他的朋友瑟里努提乌斯的真诚相待深深打动了国王。国王相信真诚不是虚无缥缈的,确实是存在的。可以说,这场战争以“正义”战胜“邪恶”宣告胜利。梅乐斯为了正义、友情克服一切困难舍命奔跑,体现了人性美的一面:单纯、善良、朴实,尽管他身上也有常人所有的缺点:冲动、脆弱。在看似邪恶的国王身上虽体现了人性丑陋和矛盾的一面,但国王最终从善的行为从另一个侧面体现了人性美的魅力所在。
2)当梅乐斯说他想以瑟里努提乌斯作为国王的“人质”回家探望妹妹的时候,瑟里努提乌斯丝毫没有抵抗之意,没有任何不满的情绪,坦然接受,甘愿作为“人质”。在梅乐斯和瑟里努提乌斯之间体现了人世间友情的可贵。“患难见真情”,在生死攸关之际,越能体现真正的朋友之间的那种不离不弃的情意。
3)梅乐斯以朋友的生命为赌注回家为自己唯一的妹妹举办婚礼,体现了人间朴实无华的亲情。那种血浓于水的浓浓的亲情在人世间是用任何东西都无法割舍的。
而贯穿于作品中的“自我意识”,一方面一方面显示了他过于敏锐的感觉和才华横溢的特征,另一方面又是他在社会迷雾中的心灵图画,展现了他对人间纯粹的美的追求。
关键词:自我意识,正义与邪恶,真诚,人间性,不信