要旨:
本論は、1980年代、1990年代,2000年代及び2010年代の4時期に分けて、アンケート調査による資料に基づいて、中国で放送された日本製テレビドラマをジャンル、視聴手段、視聴者層及び中国人の日本観への影響などから、調べて分析してみたものである。まず、ジャンルから見れば、1980年代は「家族愛」と「努力精神」をあらわすのもの、1990年代は「恋愛」と「人間関係」をモチーフとするもの、20世紀初頭は「個性」と「青春」を主題とするもの、2010年からは「職場」を反映するもののように、時代的特徴を見せている。視聴手段としては、地上テレビ放送からDVD、ネットへとの段取りである。視聴者層にしては、80年代では老弱男女を問わずみんな見ていた。それ以後は、視聴手段の選択肢が多くなり、ジャンルが豊富になりドラマによって視聴者も違ってくる。要は、1978年以来、中国は日本製テレビドラマを輸入し続け、それぞれの時代で多くの中国人に見られ、その日本人観を作りつつある。「爆買」、「萌」のような日本製漢語の流行などが示したように、ファションから生活様式・思考様式まで、日本製テレビドラマが中国に大きな影響を与えた。ポピュラーカルチャ交流の手段として、日本製テレビドラマの流行が中日相互理解の促進ともなるのであろう。
キーワード:トレンディードラマ; アイドル;ポピュラーカルチャ;テレビドラマ;日本観
目次
摘要
要旨
始めに-5
1-日本テレビドラマの中国進出-6
1.1-中国の政策的背景-6
1.2-中国の社会的背景-6
1.3-文化の類似性-7
1.4-ハイレベルな製作水準-7
1.5日本人俳優ブーム-8
2日本テレビドラマの輸入事情-9
2.1アンケート調査に見られること-9
2.2 1978年~1990年-11
2.3 1991年~2000年-12
2.4 2001年~2010年-13
2.4.1 日本ドラマの衰退-13
2.4.2青春ドラマ・学園ドラマ-14
2.5 2011年~現在-15
2.5.1 現在の日本ドラマ-15
2.5.2 職業ドラマ-15
2.5.3 不倫ドラマ-16
3日本にテレビドラマが中国に与える影響-17
3.1 個人的影響-17
3.1.1 「私達」より「私」-17
3.1.2日本は従来の映画ではなく、今のドラマである-17
3.2 社会的影響-17
3.2.1「爆買い」から見る日本製テレビドラマの影響力-17
3.2.2中国のテレビドラマへの影響-18
4 中国における日本のテレビドラマの未来-19
4.1 地上波復帰はまだ夢なのか-19
4.2 違法視聴はまだ続くしかないか-19
結論-20
注 釈-21
参 考 文 献-23
附録 1978年後中国での人気日本ドラマに関する調査-24
謝 辞-25