要旨:本論文は、安倍晋三の外交主張、対中国政策、安倍内閣成立以来の中日関係を考察したうえ、それらが中日関係への悪影響を指摘してみた。安倍は、「価値観外交」「主張する外交」と叫び、中国と対抗しようとする姿勢を世に見せている。経済が急成長して、国力が強くなった中国のことを、日本では「脅威」だと見受けている人が数少なくない。価値観外交にしても、主張する外交にしても、中国を仮想の競り合い相手にするのは端的なのである。ヨーロッパに対中武器輸出の解除を止めると呼び掛け、アメリカとの軍事同盟を強化、域外である国なのに南海問題へ介入、国際社会で中国脅威論をさかんに吹聴することなど、安倍の中国政策は糾弾すべきである。また、日本がその政策を変えなければ、中日関係も危ういものとなる恐れがある。
キーワード:安倍晋三;中日関係;中国脅威論;価値観外交;主張する外交
目次
摘要
要旨
1 はじめに-1
2安倍晋三とその外交主張-2
2.1 安倍晋三という人物-2
2.2安倍晋三の外交主張-2
3安倍晋三の中国認識-4
3.1中国との関係が重要な二国関係のひとつ-4
3.2中国が日本を脅かす存在-5
4安倍内閣成立以来の中日関係-6
4.1小泉内閣に継いだ遺産-6
4.2第一次安倍内閣時代の中日関係-7
4.3第二次安倍内閣時代の中日関係-8
5安倍の対中国政策を問う-11
5.1中国脅威論を鼓吹-11
5.2台湾を通じて中国を制限する-12
5.3釣魚島国有化の真髄-13
5.4靖国神社参拝に見られる歴史認識-15
6終わりに-19
参考文献-20
謝 辞-21