要旨
日本語には、「動詞の連用形+動詞」型の複合動詞が数多く存在している。単純動詞と比べ、それらの複合動詞は豊かでさまざまな意味・用法を備えている。ところが、日本語学習者にとって、そのような複合動詞における理解と使用はとても困難であると言われてきた。国によって、学習者それぞれの複合動詞の習得現況と原因は違っていると考えられる。そこで、本稿では、中国人日本語学習者の複合動詞における習得状況を明らかにするために、中・上級レベルとした中国人日本語学習者を中心とするアンケート調査を実施した。その結果、中国人日本語学習者の複合動詞における運用能力はそれほど高くないことが明らかになった。また、日本語の複合動詞を習得する際、複合動詞の意味や使い分けなどが十分に理解できず、困難点になることも分かった。そして、複合動詞に関する誤用については、前項・後項動詞の片方によって意味を判断することによる誤用、自動詞と他動詞の混乱による誤用、ほかの意味近い複合動詞・単純動詞と混同することによる誤用などが見られた。
キーワード:複合動詞; 中国人日本語学習者;習得状況;誤用分析
目次
要旨
中文摘要
1. はじめに 4
2. 先行研究と本研究の立場 5
2.1. 先行研究. 5
2.1.1. 森田(1978:80-84) 5
2.1.2. 金(2014:43-46). 6
2.2. 本研究の立場. 7
3. アンケート調査 7
3.1. 調査対象. 7
3.2. 調査方法. 7
3.3. テストで使用した複合動詞. 8
3.4. 意識調査の結果と分析. 10
3.5. 文産出テストの結果と誤用分析. 13
3.5.1. 結果 13
3.5.2. 誤用分析 13
3.6. まとめ. 19
3.6.1. 意識調査 19
3.6.2. 文産出テスト 19
4. 結びと今後の課題 20
注釈. 21
参考文献. 22
付 録. 24