要旨
日本語の否定丁寧形には「~ません」と「~ないです」という二つの形式が存在する。その話し言葉における使い分けに関して、近年いくつかの論文により、実態の量的な調査結果が明らかにされている。その結果として、文脈や状況による差はあるとしても、全体としては「ません」から「ないです」への移行傾向が見られている。本稿では、この否定丁寧形の「ゆれ」に焦点を当て、日本語母語話者(NS)と中国の日本語学習者(NNS)を対象に、アンケート調査を実施し、動詞、イ形容詞、ナ形容詞、名詞、固定文型という五つのタイプから、NSとNNSにそれぞれ否定丁寧形の使う傾向を分析した。その調査の結果、否定丁寧形の「ゆれ」が日本人母語話者の間にかなり存在していること、そして中国人学習者にも少なからず影響を及ぼしていることが分かった。また、存在動詞や「否定」の意味を持つ文型の方は「~ないです」形が付きやすいなどの結果も得られた。
キーワード:否定丁寧形; 言葉のゆれ; 日本語母語話者; 日本語学習者
目次
要旨
中文摘要
1. はじめに.. 4
2 先行研究と本研究の立場.. 5
2.1 先行研究 5
2.2 本研究の立場. 5
3. 「~ません」と「~ないです」に関する使用実態. 7
3.1 調査方法と調査対象. 7
3.2 調査結果 7
3.2.1 名詞の場合.. 7
3.2.2 イ形容詞の場合 8
3.2.3 ナ形容詞の場合 9
3.2.4 動詞の場合.. 10
3.2.5 固定文型の場合 10
4. 考察 12
4.1 日本語母語話者と中国人日本語学習者の使用実態の比較 12
4.2 否定丁寧形の「ゆれ」が中国人学習者への影響. 13
4.3 日本語能力別への考察 14
5. まとめと今後の課題.. 15
注釈 16
参考文献. 17