要旨:『方丈記』と『徒然草』はともに日本中世の隠者文学作品である。両作品は題材が似ているし、内容が奥深いし、筆致が簡潔であるので、日本古典随筆の双璧だと呼ばれ、日本近古散文創作の最高成就を代表すると思われる。千古伝播の名著として、『方丈記』と『徒然草』は日本の文学、歴史、思想などの面に対してきわめて深い影響を与えた。その中に貫く無常・隠逸思想は、大和民族の細かい内心世界と高度に合致しているからである。日本人の長期間の共鳴を呼び出すことができる。千古不易の文化至宝と見なされている。
二つの作品にも、「世事無常」という考え方に対する作者の見方を含んでいる。『方丈記』という作品の中に、作者の鴨長明は人類の予測できない世事無常や人類の抵抗できない世事無常に対する無力感を表した。それに対して、『徒然草』の前半において、作者の考え方は『方丈記』と同じであるが、後半において、作者の吉田兼好は無常観と生命の意味と繋げさせて、「世事無常であるが、ン人間は限りのある実践活動の中にそれぞれの生命の意味を発揮するべきだ」という見方を提出した。二つの作品における無常観について、相違点があるが、共通点もある。異同原因について、二人の作者の所存時代、人生体験および自分自身の信仰と深くかかわっているのであろう。
本稿では、まずは、無常観の概念及び二つの作品における無常観について紹介する。それから、無常観の異同について分析を行う。最後に二つの作品における無常観の異同の成因について、分析し研究する。
キーワード:方丈記、徒然草、無常観、異同、成因
目次
要旨
中文摘要
はじめに1
1.無常観について1
1.1無常観とは1
1.2『方丈記』における無常観2
1.3『徒然草』における無常観3
2.『徒然草』『方丈記』における無常観の異同3
2.1両作品における無常観の共通点3
2.2両作品における無常観の相違点4
3.『徒然草』『方丈記』における無常観の異同の成因5
3.1時代背景からの影響5
3.2作者自分自身の体験からの影響6
3.3作者の信仰からの影響6
おわりに7
参考文献 9
謝辞 10