要旨:戦後、日本社会の発展に伴って、それぞれの時代に女性の考え方も変わる。日本女性が自己意識に目覚めてきたから、女性問題は社会からさらに注目されるようになった。それと同時に、社会派推理小説が新たに現れ、そして盛んになる。松本清張は日本推理小説の代表作家の一人として、女性の視点からストーリーを展開する作品をたくさん作った。女性の心理描写や動作描写で戦後の日本女性像を作り出した。そして、自身の経験のもとで、さまざまな女性像を描き出してきた。彼女たちはそれぞれ自分なりの性格を持っている。伝統的な優しさ、気の弱い印象を見放して、現代日本女性の独立とした新しい印象が現れている。
松本清張は日本国民が経済不況の影響を受けることを考えて、特に、社会弱者である女性に注目した。彼の作品は経済的に圧迫された女性像を描き出してきた。そして、男性中心統治下の日本社会に、不幸な日本女性が多く生きている。彼女たちは幸せを追求するのに、さまざまな妨害に遭遇し、結局は不幸な運命から逃げられなかった。
松本清張は、伝統的な日本女性が好みである。男性中心統治下の日本社会に、日本女性の不幸を見ると、愛や自立を追求する女性像を描き出した。しかし、男女地位の不平等が原因で、愛情を得られなかった女性が多くいる。
松本清張の作品には、さまざまな女性像を描き出してきた。例えば、『塗られた本』の紺野美也子、『一年半待て』の須村里子、『鉢植えを買う女』の上浜楢江。本論文では、『塗られた本』の紺野美也子を中心に研究しようと考えている。更にその女性像によって、作者の女性観と現代日本女性の社会地位との関連を究明しようと思っている。
キーワード:戦後 日本女性 松本清張 社会地位 女性観
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
1.作者および作品-2
1.1作者の周辺に生きる女性像-2
1.2作品の創作背景およびあらすじ-3
2.女性の苦境-4
2.1経済不況の状況に生きる女性-4
2.2男性中心統治下に生きる女性-5
3.作品における女性観-6
3.1自立への切望-6
3.2愛への追求-6
3.3性別による悲しみ-7
4.女性像と社会的地位-8
4.1戦後における日本女性像-8
4.2現代日本女性の社会的地位-8
おわりに-9
参考文献-9
謝辞-11