要旨:1958年、井上靖は『文芸春秋』に短編小説『楼蘭』を発表した。井上靖は現代日本の有名な小説家、評判家、詩人である。中国の新疆、甘粛などの地方に実地調査した経験があるので、中国文化に対して深い感情を持っている。彼が書いた小説の中で一番特色があるのは歴史小説で、特に中国の西域を題材した小説である。
西域を取材した歴史小説の中では『敦煌』『楼蘭』『蒼き狼』などの小説は注目されて、とても人気がある。そのうえ、井上靖の歴史小説の中で、芸術性と客観的な歴史を結びつけ、芸術の立場で歴史事件を見て、作品に新しい価値を与える。『楼蘭』はそのような歴史小説で、西域に位置した古い国―楼蘭の盛衰を述べている。大国の漢と匈奴とにはさまれた弱小国楼蘭は、匈奴の略取から逃げるために、漢の庇護下に新しい国に移った。それから、楼蘭人は自分たちの故地を忘れずに帰りたいという気持ちがずっとあって、一連の回帰の試しを始めていた。
本論文では『楼蘭』における楼蘭人の遠行と回帰について議論を展開してみる。この小説の内容から、楼蘭人が色々な原因で楼蘭を離れなければならなくてもずっと帰りたいという気持ちが変わらないと述べている。そして回帰の試しが何回もあったが、結局失敗に終わった。筆者は『楼蘭』への分析を通して、楼蘭人の遠行と回帰の真の原因を探求していきみたいと考える。
キーワード:井上靖、楼蘭、遠行、回帰、原因
目次
要旨
中文摘要
はじめに 1
1.作者と作品2
1.1井上靖について2
1.2『楼蘭』について3
2.楼蘭人の遠行3
2.1遠行の過程4
2.2遠行の原因5
3.楼蘭人の回帰6
3.1回帰の試し6
3.2回帰失敗の原因7
3.3歴史の教訓8
おわりに8
参考文献10
謝辞11