要旨:八世紀後半に成立された『万葉集』は日本の現存する最古の和歌集である。当時、日本の遣唐使は大量の中国典籍を日本に伝えて、先進的な中国文化を日本に持っていった。そして万葉歌人はこれらの中国文化の影響を受けた。彼らは中国文学の豊富な内容や表現手法を参考していろいろな和歌を作った。この論文は「露」の歌から『万葉集』の中国文学の受容を分析するつもりである。
露は自然現象である。物理学角度からみると、一日中、朝の露と夕の露がある。一年中、春の露と秋の露がある。先秦時代から中国文学には露に関する作品が多い。しかし、「露」という歌語は日本の古代歌謡にはみえず、『万葉集』になってはじめて多く見られるようになった。『万葉集』において、「露」という歌語の取材から、漢語の「朝露」、「白露」などの直接な利用、漢文の表現手法まで、中国文学を参考したことは明らかである。そのほか、露はもう自然現象だけではなく、中国文人によりほかの豊富な意味を与えられていた。たとえば、露を玉に喩えられることや露を生命無常の代表とされる。万葉歌人もそれを受けて「露」を和歌創作に用いた。それに、露と「月」、「荻」との取り合わせも受容の証拠の一つである。本論文の最後の部分は両国文学における露に関わるさまざま感情を検討する。さらに露の歌から『万葉集』の中国文学の受容を考察してみたい。
キーワード:『万葉集』 中国文学 露 受容 月 荻 恋 見送り 哀悼
目次
要旨
中文摘要
はじめに1
1、露の分類1
1.1、朝の露と夕の露2
1.2、春の露と秋の露3
2、露の比喩5
2.1、玉の喩え5
2.2、生命の無常 6
3、露の取り合わせ7
3.1、露と月7
3.2、露と荻 8
4、露からさまざまな感情を見る8
4.1、露と恋9
4.2、露と見送り10
4.3、露と哀悼11
おわりに12
参考文献13
謝辞14