要旨: 東野圭吾は日本の推理小説界のダークホースであり、1985年に第31回江戸川乱歩賞の受賞作『放課後』でデビューを果たした。初期の作品の多くは精巧で入念な本格的推理小説であったが、その後、作風が徐々に伝統的な推理小説の枠組みを超えるようになり、その創作力の旺盛さで、彼は日本の推理小説界のトップ作家へと躍り出た。1999年に刊行された『白夜行』は19年もの時を超えて、繊細に主役と周りの登場人物を描いた犯罪小説で、その後、彼の作風は徐々に円熟になり、作品は新しい境界に入った。その作品は何度も日本の著名な直木賞に選ばれている。彼の書いた『手紙』は第四度直木賞指名した作品である。この作品は感情、社会、犯罪、人間性を一体化し、真実の筆で人間の弱さ探求する総合性のある小説である。『手紙』という作品の中で、東野圭吾は従来のタイプの類似小説のスタイルから飛び出して、犯罪者の家族や社会にもたらした長期間の連帯傷害に目を向け、「罪と罰」の描写と深い反省を通じて、読者に音を消して「絶対に犯罪しないように」と呼びかけている。東野圭吾の筆で、肉親の情と宿命、落ちぶれと奮闘、懺悔と救い、人を深く感動させるのである。物語の内容をまとめると:主役の武島直貴は兄が強盗殺人で入獄したことで、人々から差別された。しかし武島直貴は自分の心理障害や世間の白い目を克服して、社会の中で生きていく。本論文は武島直貴の心理状態と彼の遭遇を通じて、日本社会に存在している社会問題と作者が主張したいテーマについて分析していく。
キーワード:手紙 差別 社会問題 東野圭吾
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
1『手紙』からみる日本社会の非情さ-1
1.1武島剛志強盗殺人の原因-1
1.2日本社会の非情の原因-2
1.2.1経済グローバル化と西洋観念の影響-2
1.2.2IT技術産業化の影響-2
1.2.3歴史的価値観の影響-3
2『手紙』から見る日本社会の差別問題-3
2.1差別の意味とは-3
2.2差別による直貴の悲劇-3
2.3差別は当然のこと-4
3『手紙』から見る日本社会の過労死問題-4
3.1過労死と武島家の悲劇-4
3.2過労死の意味と発生原因-5
3.3過労死問題の対策-5
3.4 過労死問題の啓示-6
おわりに-6
注-7
参考文献-8
謝 辞-9