要旨: 伊坂幸太郎氏は近年話題になっている推理小説家で、毀誉相半ばされている彼の作品は容赦なくインターネットで熱く討論されている。推理小説らしくない推理小説、奇異な人物、理屈に合わない物語、作品間のリンクなど、読者に楽しんで語られている。新進気鋭の推理小説作家としての伊坂幸太郎氏はデビューしてからいつも村上春樹氏と比較された。確かに村上春樹氏と同様に、作品の中で音楽、科学、哲学、動物などの話も巧みにストーリーに彩られていることが多い。伊坂幸太郎氏の作品では、それらのものを気がきいた表現手法で登場人物の言い回しやセリフによって読者に伝えた。作品に浸るうちに、読者もその言い回しやセリフなどにはまって興味を起こされた。
伊坂幸太郎氏の作品を鑑賞しているとき、読者の言いたいことを作者は代わりに数多く書かれている。作者は読者の代弁者だと思われる。動物の話もその中のひとつだ。読者にしては、動物を守ることはもうありきたりの話でありながら、小説の中心話題になると創造性がなくなる恐れがある。作者はそれを十分を知る上にあえて伝統的な描写方法を捨て、いままでない角度から、神様、人間、自然、世のモラルに合わない行動などを、新しく解釈している。動物を守るだけではなく、動物の存在そのものが人間の大切なものだということを伊坂氏は訴えている。
本稿は伊坂幸太郎氏の作品に登場する動物の役割を研究する。作品の中で登場人物やストーリーの展開との関係がどこにあるか、作家としての伊坂氏がどのような決心を下って生きていくかを研究することにより、作者は読者を何を伝えようとしているを追究する。しかしながら筆者の研究能力不足および先行論文勉強不足のため、本稿に行き届いていないところはあると思う。これからも伊坂幸太郎氏の作品を研究し続けていきたい。
キーワード:動物 伊坂幸太郎 人間 守り 救い
目次
中文摘要
要旨
はじめに5
1、推理小説家としての伊坂幸太郎5
1.1、推理小説家離れの作家6
1.2、「風呂敷を畳まず」の伊坂幸太郎6
2、リョコウバトを話題にする原因7
2.1、小説の進められている鍵――リョコウバト8
2.2、主人公が島に伝えたいこと――リョコウバト9
3、幅広い作風になった作品10
3.1字面から見るアヒルと鴨の違い11
3.2作品中アヒルと鴨の本当の違い12
3.3アヒルと鴨と主人公の関係12
4、終わり12
参考文献14
謝辞 14