要旨:谷崎潤一郎は日本近代文学史で有名な耽美主義文学の代表作家である。明治、大正、昭和の三つの時代に跨り、五十五年の執筆生涯において、人口に膾炙する作品を創作している。1923年関東大震災後、関西に移住した谷崎は『細雪』を創作した。『細雪』は谷崎文学古典回帰の代表作で、自体は蒔岡四姉妹における日本女性美をよく描いている。日本女性美の解読を通して、谷崎潤一郎の女性美意識を探求している。そのため、この作品には特別な研究意義がある。
本論文は3つの部分からなっている。まず、本稿の第一章は『細雪』自体と谷崎潤一郎の生涯を簡単に紹介した。女性主人公を分析した。また物語のあらすじと創作背景を含み、主人公と谷崎の身の回りの真実人物の関係にも触れたい。
本稿の第二章は作品において蒔岡四姉妹の日常生活の描写を通して、女性美を中心に論述を行う。四姉妹の性格、容貌、身体、服飾などの方面をめぐって、それぞれの日本女性美が体現された。作者は「細雪」という理想的な世界で、雪子を中心に、それぞれ特色がある四姉妹の協調の女性美を現した。
本稿の第三章は谷崎潤一郎の自分なりの性格とにらに合わせて、女性美の根源を考察した。つまり、谷崎の女性美意識である。『細雪』における四姉妹の運命を分析して、谷崎潤一郎の女性美意識の異なる側面を探している。かつて、「もののあはれ」、「永遠の美」などの日本伝統美意識が谷崎女性美意識に対する影響についても述べている。
キーワード:『細雪』、女性美、美意識、蒔岡四姉妹
目次
要旨
中文摘要
はじめに
第一章 『細雪』と谷崎潤一郎
1.1谷崎潤一郎について
1.2『細雪』の創作背景と女性主人公
第二章 『細雪』の四姉妹に現れた日本の女性美
2.1「鶴子」の女性美
2.2「幸子」の女性美
2.3「雪子」の女性美
2.4「妙子」の女性美
第三章 四姉妹に現れた女性美の根源――谷崎の女性美意識
3.1「鶴子」に現れた女性美の根源
3.2「幸子」に現れた女性美の根源
3.3「雪子」に現れた女性美の根源
3.4「妙子」に現れた女性美の根源
終わりに
参考文献
謝 辞