要旨: 現在、日本は雇用安定時代から雇用流動化時代への過渡期にあり、成熟作業から成長産業へと労働移動が行われている。長らく日本企業の繁栄を支えてきた長期雇用慣行、年功序列を特徴とする日本型雇用システムは、いまや瀬戸際である。企業が安定的に成長し続けている間は、この雇用システムを維持することが、企業にとっては人材の育成・確保が容易となり、労働者にとっては安定した雇用を維持できるという意味で、双方に利点がある仕組みとして作用していた。だが、長引く不況や経済のグローバル化などによる競争の激化に直面する中で、企業はこれらの雇用システムを見直しはじめている。就労者にとって影響が大きいのは、終身雇用制度の崩壊と、その後に訪れる雇用流動化時代の到来であろう。
この論文はまず、日本の労働市場における雇用の現状と流動化現象の原因を分析する。そして、雇用の流動化過程における問題点を把握し、将来の雇用維持のために失業なき労働移動の対策を研究するものである。
キーワード:終身雇用;雇用流動化;雇用市場;経済のグローバル化
目次
要旨
中文摘要
はじめに.1
第一章 戦後日本の雇用市場の安定期.2
1.1経済の高度成長と日本的雇用の定着2
1.2日本的雇用が果たした役割3
第二章 経済のグローバル化と雇用市場の流動期.5
2.1グローバル化の進展と価値観の変化5
2.2日本的雇用の変質と労働市場の流動化6
2.3安倍政権の雇用制度の改革と労働市場政策8
第三章 雇用市場における問題点と対策10
3.1グローバリゼーションによる問題点.10
3.2雇用市場に求められる対策.11
3.2.1働く権利を守る雇用法制の整備.11
3.2.2雇用流動化のセイフテイネット整備.12
3.2.3働く人の転職意識の変化の必要性.13
3.2.4就労者職業能力開発とスキルアップ.14
おわりに15
謝辞16
参考文献17