要旨:日本人は生まれたときから群をなす習性を持っている。この群集の行動規則と動く様式は、著しい集団的色彩と濃厚な帰属意識を表す。本論文中では甘えについて「甘えの語彙」「義理と人情」「他人と遠慮」「内と外」、の面について分析し、 現実社会に存在する幾つか問題との関わりを指摘した。 ところで、調べる限りでは、甘えの構造と日本人の集団意識との関わりの先行研究は少ない。本研究では 「義理と人情」と「他人と遠慮」と「内と外」のような甘えの現象から、日本人の集団意識との関わりについて考察してみたい。
キーワード:集団意識;義理人情;遠慮;内と外;考察
集団意識は日本の伝統的な文化である。日本の特有の文化とされている集団意識は古 くから現代までいろいろな面に現れている。その意識は日本では今日企業経営、サラリ ーマン社会などにおける集団の和の重視、果たしては学校の学生の制服に至るまで、広 く深く根を張っている。中嶋柏樹の甘えの構造』の中では日本の有名な精神病学者の土 居健郎は、「日本社会における種々の営みを貫く一本の糸が甘えである」 と主張した。
また、日本人が協力を団結させて、心を合わせて協力して、お互いに頼り合って生けた集団意識はとても強いと思うが。 だから、 日本人が一般に意見の対立をこのまず、 何かを決定せねばならぬ時はなるべく全員一致の歩調をとりたがるのも、「甘え」という他者に依存したい、また他者との一体感を求める欲求は日本人の個人より集団意識によく反映されている。他人であれば、遠慮があって、同じ集団に属していない。他人でなければ、遠慮しない、同じ集団に属している。「内」は集団の内部で、「外」は集団の外部で、この「内と外」の境は集団によって、ずっとかわっていく。このような関わりから、日本の社会には集団内部の人間関係の摩擦は最小限に抑えられ、集団活動の効率が一段高くなるのである。