要旨
新語は社会各方面の発展や変化を早速に反映している。日本の方々に中国の発展状況を理解してもらうために、新語の日本語訳を研究することが必要だと思われる。
筆者の知っている先行研究では、語源から新語を分類し、日本語訳を進める研究はまだ少ない。また、これまで動的等価理論から考察する論文はまだ見られない。そこで、本稿では先行研究の成果を踏まえ、新しい新語の分類法および動的等価理論の視点から見る日本語訳研究を進めていきたい。新語の日本語研究の領域に少しでも補足できればと望む。
本論では、まず吴侃氏(2008)の新語に関する定義に基づき、政府の報道機関『人民網』(日本語版)、『人民中国』から新語を選出し、語源によって新語を①外来語、②自国新造語、③意味が変化する語に分類した。そして、動的等価理論の視点から、新語の日本語訳の方略を検討した。その方略は回訳、移植、直訳、省略、加筆、パラフレーズ、意訳、移植+注釈という8種のものである。また、新語の日本語訳方略を検討していくうちに、動的等価理論の応用によって一部の翻訳の限界性が解決できるとのことがわかった。これをさらに新語の日本語訳研究領域に応用できればと望む。
キーワード:中国語新語 日本語訳 動的等価理論
目次
摘要
要旨
はじめに-1
1 語源による新語の分類-2
1.1 新語の定義-2
1.2 語源による分類の理由-3
1.3 語源による分類結果-3
2「動的等価理論」に基づく新語の日本語訳方略-4
2.1 翻訳理論の選択「動的等価理論」について-4
2.2 外来語についての日本語訳方略-5
2.2.1 欧米からの新語(回訳)-5
2.2.2 日本からの逆輸出(移植)-5
2.3 自国の新造語についての日本語訳方略-6
2.3.1 日本では同じ意味を表す(直訳、省略、加筆)-6
2.3.2 日本では類似の意味を表す(同化)-8
2.3.3日本にない独特の意味を表す(パラフレーズ、移植+注釈)-8
2.4 意味が変化する語についての日本語訳方略(意訳)-10
3 新語の日本語訳の限界性と「動的等価理論」の応用-11
3.1 形による形式等価の限界-11
3.2 ニュアンスによる形式等価の限界-12
3.3 文化の差異による形式、意味等価の限界-12
おわりに-13
参考文献-15
謝辞-17