要旨:安部公房は日本の有名な小説家兼劇作家であり、日本戦後派文学に重要な影響を与えた。有名な作品としては『壁-S・カルマ氏の犯罪』『他人の顔』『水中都市』などが挙げられる。実存主義と超現実主義などの欧米現代派の影響で、安部公房の作品はストーリーがグロテスクで意味が深く、人間の有様に注目して表現する。
安部公房の作品は国際的な影響が深く、国外で安部公房について多く研究されている。日本国内で安部公房についての研究は小説に限らず、また映画、ラジオドラマ及び撮影などもかかわっている。ノーベル文学賞受賞者大江健三郎は「もっと長生きしていれば、自分ではなくて彼らがノーベル文学賞を受賞したであろう」という事を述べている。安部公房自身の経験は彼に自我存在の価値と意味などの問題を考えさせ、彼の作品は実存主義と緊密かつ独特な関係がある。
今までの研究成果としては、安部公房の作品に含まれた実存主義と芸術特色を分析するものが多いが、主に実存主義に注目し、安部公房の作品を具体的に研究している。本稿は「砂の女」と「燃えつきた地図」を中心に、二人の主人公の存在状態などを比較分析することにより、その中に含まれた自我探求のテーマを研究する。
キーワード:安部公房;自我;孤独;迷惑;自我探求
目次
要旨
中文摘要
1.はじめに-1
1.1安部公房について
1.1.1生い立ち
1.1.2戦後派文学と安部公房
1.1.3作品と受賞
1.2「砂の女」と「燃えつきた地図」のあらすじ
1.2.1「砂の女」のあらすじ
1.2.2「燃えつきた地図」のあらすじ
2.「砂の女」と「燃えつきた地図」における自我探求の意識-3
2.1主人公の苦境
2.1.1「砂の女」における仁木順平の孤独
2.1.2「燃えつきた地図」における「僕」の焦慮
2.2メビウスの輪の二重視角
2.2.1「砂の女」における二重視角
2.2.2「燃えつきた地図」における二重視角
2.3超越:自我の発見
2.3.1「砂の女」における仁木順平の最終選択
2.3.2「燃えつきた地図」における「僕」の行方不明
3.安部公房の作品における自我探求テーマの形成の原因-8
3.1第二次世界大戦後の日本の状況
3.2「故郷」のコンプレックス
3.3欧米文学の影響
4.終わりに-9
参考文献-11
謝 辞-12