要旨
改革開放以来、中国での日本語教育事業が勢いよく発展するのに伴い、日本語を勉強する中国人も多くなっている。私は日本語を勉強する間に、日本語の中国人学習者の発音と日本人の発音とはかなり異なっていることに気づいた。日本人の発音と比べ、中国人学習者の発音は五十音図で多くの問題が存在するのは事実であるが、今回私が考察したいのは五十音図そのものの発音ではなく、日本語のアクセントである。日本語を習うには、五十音図をマスターするだけで十分であるとよく聞かされている。市販されている日本語の初心者向け入門書ではそういう言い方もよく見られるが、私はそうは思わない。よく言われるように、ある言語をマスターするには、5%の文法、1%のボキャブラリーと100%の音声学の知識が必要である。言語を習うには、単語や文法の学習ばかりではなく、イントネーションやアクセントもきわめて重要である。日本語学習においても同じだと思う。
日本語教育事業が発展するにつれて、日本語への研究も盛んになっている。
この中で、日本語の音声学についての研究も次々に現れているが、日本語音声学と音韻学についての研究は最も少ないと言える。もっとも、大部分が発音するときの上下の唇の形と五十音図の発音についての研究である。
したがって、今回日本語の中国人学習者によるアクセントの問題点について考察することには、新しい意味があると言える。これにより、中国人学習者に存在する問題点を発見し、日本語の正しいアクセントを紹介すれば、よりよく日本語をマスターでき、完璧な日本語を操れるようになると思われる。
ただ、あらゆる品詞のアクセントに存在する問題点を分析すると、研究範囲が広大なものとなり、結論として焦点不確定の危惧が生ずる可能性がある。従って、本研究では、動詞を中心として、動詞自体や動詞の活用形のアクセントに存在する問題点とその発生原因、更に解決方法と将来展望について考察する所存である。
キーワード: アクセント;動詞;活用形
目次
要旨
中文摘要
1はじめに. 1
2アクセントについて. 2
2.1アクセントの概念
2.2現代標準日本語のアクセントの分類と表示方法
3中国人による日本語のアクセントに存在する問題点. 4
3.1動詞自体のアクセントに存在する問題点
3.2動詞の活用形のアクセントに存在する問題点
3.2.1否定形
3.2.2過去形
3.2.3仮定形
3.2.4受身形
3.2.5使役形
4問題点の発生原因. 12
4.1教育的原因
4.2個人的原因
5問題点の解決方法及び今後. 14
5.1教育システム及び教授方法による解決策
5.2日本語学習者側からの解決策
5.3問題の将来展望
6結論. 16
7参考文献18
8謝辞