要旨:芥川龍之介は、1921年3月から7月までの4ヶ月間、大阪毎日新聞社の海外視察員として中国を訪れ、各地を訪問した。帰国後、大阪毎日新聞に掲載された紀行文等を中心にまとめられたのが『中国游記(しなゆうき)』(改造社、1925)である。この中国行きを通して、芥川は想像と全く異なっている中国を見、そして、新しい中国認識を形成した。この旅行後、芥川の心身が衰え始まる。いったい、芥川は中国で何を見たのだろうか。
『中国游記』は「上海游記」、「江南游記」、「長江游記」、「北京日記抄」、「雑信一束」で構成されている。その中に芥川の中国見聞が記述され、近代中国の社会現状が反映された。本文は歴史を還元する方法、及び史実と結んで、比較分析を行う方法を運用し、また、芥川龍之介の『中国游記』を全面的に解読しながら、その中で表現された中国像と芥川の中国観を検討する。
キーワード:芥川龍之介 中国観 中国遊記 中国像
目次
要旨
中文摘要
1.はじめに-1
2.先行研究-2
3.当時の日本と中国の社会背景-3
3.1 芥川龍之介の生涯-3
3.2 日本と中国の社会背景-4
4.『中国遊記』で記述された中国像-6
4.1上海について-7
4.2江南について-8
4.3長江について-10
4.4北京について-10
5.芥川龍之介の中国観について-12
6.終わりに-13
謝辞-14
参考文献-15