要旨: 坂口安吾は日本の有名な小説家として、歴史小説や推理小説など、多彩な領域に活躍した。第二次世界大戦後、日本社会は混乱な状態に陥った。無頼派という流派が日本文壇に登場した。坂口安吾は無頼派の代表作家として、日本国民に「生きよ、堕ちよ」と呼びかけた。彼の文学作品は当時の混乱な社会をバッシングし、自由や人間性の解放を提唱した。
『桜の森の満開の下』は1947年6月に発表した。これは日本政治、経済と思想が換骨奪胎した時期である。この小説は坂口安吾の代表作であり、高い評価を受けた。作品で表れた堕落や人間性の解放や自由への追求などの思想は、坂口安吾の独特な文学観である。本稿は男女主人公の人間性の堕落表現を研究する上に、作品に見られる人間性の解放及び伝統的と現代的な価値観の対立という思想を分析する。
主人公の山賊は女を占有するため、女の亭主や自分の六人の女房を殺す。都に移す後、宝飾を盗み、人を殺す。最後、満開の桜の森を通る時、山賊は背負っている女が鬼になったと気づき、狂乱の中に女を殺した。
また、主人公の女の美しい皮相と内心の残酷は鮮明なコントラストを形成する。女は山賊に自分を背負って家に帰り、妻を殺し、宝飾を盗み、人首を持ってくることを支配し、自分の欲望を満足する。
坂口安吾の提唱した「堕落」は束縛を捨て、人間性を解放し、自由を追求するという意味である。山賊は伝統的な価値観の象徴、女は現代的な価値観を象徴する。山賊は櫛や笄などの現代価値観を代表するものを理解できない、また、女は山賊に彼女の着物などを触れることを許さない。まさに伝統的と現代的な価値観の対立である。
小説の最後に書いた絶対孤独は作者の独特な文学観である。山賊は女を殺し、絶対孤独な状態に入った。『桜の森の満開の下』を通じて、坂口安吾の絶対孤独という文学観を深く理解することができた。絶対孤独な状態に入ることは人間性の解放の必要条件である。一切の論理、価値観を捨て、徹底的に自分の人間性を解放し、本性に戻る。
キーワード:人間性 堕落 解放 価値観 絶対孤独
目次
要旨
中文摘要
はじめに1
1.作者と作品について1
1.1作者について1
1.2作品について2
2.山賊の堕落3
2.1女を占有する狂気3
2.2都で殺人の残酷4
2.3桜の下で女を殺す狂乱4
3.女の堕落5
3.1山賊に支配する冷酷5
3.2贅沢な生活への過度な追求5
3.3首遊びに夢中6
4.文章で表現された思想6
4.1人間性の解放6
4.2伝統的と現代的な価値観の対立7
おわりに7
参考文献9
謝辞10