要旨:明治40年に、田山花袋(1871-1930)は「蒲団」を書き上げた。当時、日本は対外侵略を実施した同時に、強力に欧米の技術と思想文化を吸収した。その特定な社会背景のもとに『蒲団』が創作され、いきいきとこの時期に生きた日本男女の人間像を描き出した。『蒲団』においてはその時期の社会現実が投影され、本能と道徳の矛盾を持っている人物像を創作されてきた。この小説の内容と表現手法などは当時の文壇で極めて大きな関心を呼び起こした。
主人公の竹中時雄は妻への飽き、新たな恋への憧れなどの本能を持っていた。当時で珍しかった「露骨な描写」を通じて、作者は主人公にある道徳と本能の矛盾を赤裸々に暴露されている。しかし、その主人公は世論などの制約を深くうけられたため、道徳を突き破ることができなかった。この部分については作者は甚だしい心理描写で道徳という力の抑圧的な効果を徹底的に体現している。また、『蒲団』は最後まで中立描写を用いて、客観的に圧迫された男性欲求と社会道徳の矛盾を表現している。
本論文では主人公から体現した道徳と本能の矛盾を中心として研究したいと思う。具体的な内容と表現手法を分析することによってその矛盾を考察し、『蒲団』の創作価値を研究する。さらに、作品に反映した当時社会の残酷な現実や人間性の哀れを究明しようと思っている。
キーワード:道徳 本能 矛盾 社会現実 人間性の哀れ
目次
要旨
中文摘要
はじめに:-2
1.田山花袋と「蒲団」-2
1.1田山花袋の経歴-3
1.2創作意欲-3
1.3「蒲団」のあらすじ-3
2.本能と道徳-4
2.1人間性の本能-4
2.1.1本能の体現-4
2.1.2本能の表現手法-5
2.2抑圧的な道徳-6
2.2.1道徳の体現-6
2.2.2道徳の表現手法-7
2.3道徳と本能の矛盾-7
2.3.1矛盾の体現-7
2.3.2矛盾の表現手法-8
3.矛盾からみる創作価値-9
3.1当時日本社会の投影-9
3.2人間性の哀れの暴露-9
終わりに-10
参考文献-11
謝 辞-12