要 旨:「すまない」の表現形式である「すみません」に対しては、中国人の日本語を使う際に、日本人が「すみません」と考えるところを中国人は「すみません」とし、日本人が「ごめん・ごめんなさい」と考えるところを中国人は「すみません」とした例がでてくる。また、謝罪と感謝の言葉が「すみません」という同じ表現であることに戸惑う外国人は結構多い。
そこで、本稿では、参考文献と日本人に対してのアンケートの結果を、中国人に対してのアンケートの分析の基準とし、日本語の「すみません」に関する表現形式について、二年目、三年目、四年目の日本語学習者はどれほど理解しているのか、また、「すみません」の使用に関する認識がどの程度あるのかについて、中国のある大学の日本語学部の学生を対象として、アンケートを通して調べることにした。その結果、話し手と聞き手の地位や身分が同じくらいだとしても、謝罪の言葉の「すみません」を使う場合と「申し訳ございません」を使う場合あること、また、謝罪を述べる際に、「ごめんなさい」あるいは「申し訳ございません」を使うべき場面であるのに、学生は一切「すみません」で終わらせていること、更に、例え自分にミスがあったとしても、謝罪の言葉を使わず釈明から始まるなど、日本語を勉強している大学生でも日本の文化、言葉を使うときの日本人の考え方等を十分に理解していないなど、中国の大学生が「すみません」を使う上で様々な問題があることが判明した。
本稿では、日本語学部の学生の「すみません」に関する言葉の使用の際、間違える原因は一体何なのか、単なる練習不足なのか、それとも認識の不正確さからなのかなどについて、アンケート調査をし、分析と研究を行った。
本稿では、教育への示唆として、日本語を専攻としている大学生は、「すみません」に関する表現形式を使う際、その使用場面を振り分け、正確に使うことに今以上に力を入れるべきだと考える。更に本研究は、中国人の学生の誤用例にも触れ、「すみません」に関する表現形式を使い分けについて詳しい説明を行っている。本稿はこれからの中国人の日本語教育の一端を担うものになると確信している。
キーワード:謝罪 謝辞 目上 目下 内外