要旨: 1972年9月29日、「日中共同声明」の発表で戦後から中日両国の戦争状態が終わった。国交回復の運びまで持ち上げた日本側の代表は、首相の田中角栄であった。本論は田中の外交政策および対中政策についての言動を考察した上うえ、田中内閣時代の中日関係を検討した。20世紀70年代に入ると、中ソ関係の悪化に従って、中米の接近が見られ、1971年に中国が国連に復帰、1972年2月にアメリカ大統領ニクソンが訪中した。一連の事件が日本に大きな波紋を投じた。その上、日本国内では高度経済成長が長続き、海外市場の拡大が求められ、産業の海外進出には中国は無視できない存在なのだ。そんな国内外の事情を見受け、首相就任以来、田中は柔軟な姿勢を見せ、中国との国交を回復させる政策をとった。中日関係を新たな段階に推し進めた功績は讃えるべきだ。そして、田中内閣時代の中日関係は、好転しつつあったといえよう。
キーワード:田中角栄;中日国交回復;政治三原則;戦争賠償;平和
目次
摘要
要旨
1 国交回復までの中日関係-1
1.1民間交流より発足した戦後の中日関係-1
1.2民間貿易協定による「半官半民」方式の中日関係-2
1.3国交回復直前の「日中国交正常化」運動-3
2 田中内閣の対中政策-5
2.1 田中角栄という人物-5
2.2田中内閣の政治主張と政策-5
2.3田中角栄の対中認識と主張-5
3 国交回復交渉における課題をめぐって-8
3.1台湾問題について-8
3.2釣魚島について-8
3.3戦争賠償問題について-9
4 日本側から見た中日国交回復の要因-10
4.1中華人民共和国の国連加盟と中日関係-10
4.2中ソ関係の悪化と中日関係-10
4.3日本の海外進出と中日関係-10
5 終わりに-12
参 考 文 献-13
謝 辞-14