要旨:映画『となりのトトロ』は1988年4月16日に日本で上映されたアニメ映画である。この映画は昭和三十年代の日本の田舎を背景とし、子供を主人公とした物語である。本来この映画は子供の無邪気さと幼児時代の素晴らしく純粋な雰囲気を比較的明るいテーマとして表現している。しかし、本文では独特な観点からこの映画を考察する。それは『となりのトトロ』が表した日本人の孤独感である。孤独感は日本社会に普遍的に存在する問題である。また孤独感は日本の一種の民族的な性格ともいえそうである。そのため、これが主題になった文学作品や映画は日本に多い。本文は『となりのトトロ』を題材として、主に姉妹二人、男の子勘太、トトロ、このような映画の中に登場するキャラクターの孤独感の表現と原因を分析し、さらに日本の社会における日本人の孤独感を考察する。繰り返して映画を見たり、それに関する資料を調べたりした結果、映画が表した日本人の孤独感は、次のように考えられる。それは孤独感の発生が、家族構造、日本人の「他人に迷惑をかけないように」という伝統的慣習、劣等感、強い集団意識及び繁栄した漫画文化、これらに起因するというものである。本文は『となりのトトロ』という映画を孤独感に関する観点から分析して、日本人の孤独感に対して、より深く迫っていく。それと同時に、日本の「お宅族」などの社会現象を解釈できるだけではなく、孤独感により生じるいくつかの日本の社会問題、例えば「孤独死」、子供の安全問題などを解く鍵も得られると考える。
キーワード:となりのトトロ;日本人;孤独感
目次
要旨
中文摘要
第1章 はじめに-1
第2章 映画の紹介-3
2.1 映画のあらすじ-3
2.2 映画の中の人物-3
第3章 サツキとメイという姉妹の孤独感-5
3.1 家族の構造が引き起こした家庭喪失-5
3.2 日本人の「他人に迷惑をかけないように」という伝統的慣習-6
第4章 男の子勘太の孤独感-9
4.1 自分の劣等感-9
4.2 強い集団意識がもたらした結果-9
第5章 トトロなどが代表した日本の漫画文化-11
5.1 トトロなどの隠された意味-11
5.2 日本の漫画文化と日本人の孤独感-12
第6章 おわりに-15
参考文献-17
謝辞-18