要旨:現在、日本は世界で最も安全で清潔な国として認められ、世界第二位の経済大国となっているが、その背景には一般庶民に受け入れられた仏教の文化によるところが大きい。
6世紀に朝鮮半島の百済から伝来した仏教は在来の神道と結びつくことで、日本に深く広く浸透していった。遣唐使の活躍や唐の鑑真和上の来日もあって、学問としての仏教は広まるが、それはあくまでも支配者階級の仏教であった。
仏教は平安時代から定着し始め、鎌倉時代にはかなり普及したようである。室町時代には、仏教の各宗旨が全国規模の大教団になっている。江戸時代には、キリスト教が禁制になり、寺請制度が導入された。領民を寺院の檀家にし、先祖を供養しない者、寺に参らない者などは処罰されることもあった。
明治政府は神道を国家統合の基幹にするため、神道と仏教の分離を図った。仏教を排斥するものではなかったが、結果として廃仏毀釈運動につながった。
日本の行事、風習をみると、日本人の生活習慣や日本の文化は神仏習合の宗教観のもとに形成されてきたように思われる。現在の日本人が異なった文化に接しても拒絶しないで柔軟に対処できるのは、1,500 年ほど前に伝来した仏教を受容し、その定着を通して得た庶民の知恵によるものなのであろう。
キーワード:仏教、神仏習合、文化
目次
要旨
中文摘要
序論-1
第一章-仏教の伝来と神仏習合-3
1.1-仏教の伝来-3
1.2-神仏習合-4
第二章-仏教の定着-6
2.1-平安時代-6
2.2-鎌倉時代-6
2.3-室町時代-7
2.4-江戸時代-7
2.5-明治以降-8
2.6-現代-8
第三章-日本人の生活習慣-9
3.1-日本人の 1 年-9
3.2-日本人の一生-13
3.3-神仏と生活習慣-13
結論-11
おわりに-12
参考文献-14
謝辞-15