要旨:日常言語交際活動において、やり取りの表現は使用頻度が高く、且つ難しく、時々間違って使われている場合があって、誤解を引き起こすのである。
授受表現によく使われている動詞及び補助授受動詞には、主に「やる」、「あげる」、「差し上げる」、「くれる」、「下さる」、「もらう」、「いただく」などがある。これについて先行研究もあったが、それはほとんど日本語の立場から、視点あるいは恩恵の移動、話し手および相手の好意を究明することを中心としたもので、、中国語と比較しながら検討したものはまず少ないようである。
本論では次のような着想に基づいて検討してみることにした。
まず日本語授受本動詞を三組みに分けて、それぞれの使い方や特徴を検討してみる。それからそれに対応する中国語の授受準動詞の使い方を調べる。それから日中授受表現を比較する。授受本動詞の全体像についての概観を通して、日本語と中国語について授受表現の基本的な意味機能を明らかにしようと思う。
キーワード:授受表現 中国語 動詞 特徴
日本語授受動詞構文3系列体系の特徴については、従来数多くの先行研究によって論及されてきているのである。また、中国語との体系上共通性や相違性については、わずかながら言及されている。本論では授受本動詞の性格と表現を考察した上で、中国語の準動詞“给”、“得到”における「動詞」と「介詞」の区別、日本語授受動詞の構文とそれに対応する中国語授受表現の構文、授受表現における日中の対応関係と相違性を検討してみた。
日本語と中国語における授受本動詞及び授受補助動詞の対応関係及びその応用は見たところ、簡単であるが、実際には難しく、時々間違って使われていて、誤解されがちである。これからさらにその対応関係及び具体的な使用規則について研究を続けていこうと思う。