要旨:本稿では、日本と中国における箸の違いを比較検討した。それぞれの名称、種類、外観、食法、食事作法について比較を行った。その結果、日中の箸の名称は同じだ。しかし、日本の箸の種類は中国よりもっと多い。また、食事作法はほぼ同じだが、日中が箸に対する感情が違う。
キーワード:中国の箸 日本の箸 異同 文化
第一に、箸の名称がもともと同じだが、中国では忌み言葉を避けるために別の言い方にした。
第二に、日本の箸の種類は中国の箸よりずっと多い。外観もそれぞれの料理に合わせて違ってくる。
第三に、同じ箸食でも、使う食器が違う。
第四に、食事作法はほとんど同じだが、細かいところに違いも見られる。
第五に、日本人は誕生から墓場までを、「箸に始まり箸に終わる」といわれるくらい、日本人の生活とは切っても切れない結びつきがる。そのため、日本では食べる前に箸を両手を胸元で合掌し“いただきます”と言う習慣がある。しかし、中国にはない。
第六に、日本人も中国人も、古くから箸には神や使う人の霊が宿るとする信仰が根強くある。そのために箸についての俗信や迷信も数多く残っている。
第七に、両国とも箸は万能の食器と考えられている。箸は挟む、剥がす、包む、運ぶ、支える、摘む、切る、裂く、解す、掬うなどさまざまな機能を持っている。