要旨:本稿では、日本の高度経済成長の秘訣で、固有の雇用慣習といわれる「終身雇用制度」の変遷をめぐって、各属性別に勤続年数の推移から変化の原因を探る。若者の勤続年数が相対的に短くなっているのは日本だけでなく、中国の上海市でも同じ状況に直面している。一方、近年日本では就職形態の多様化が進み、若者にとっては、一生同じ会社に勤めるより、自分の考え方を持って柔軟性の高い生活を大切にして、ゆとりのあるライフスタイルを追求したいという考え方が広がっている。
キーワード:終身雇用 転職 勤続年数
本稿では、日本における終身雇用制の変化が若者にどんな影響を及ぼしたかについて論じた。現在、就職形態の多様化が進み、若年層は会社に強く依存しない働き方を求める意識を持って、多様な価値観、発想を取り入れていく柔軟性の高いライフスタイルを追求する考え方と合致していると結論できる。
今後、経済の復活に従って安定した職を求めることより、自由に生きたい若者がさらに多くなるであろう。多様な働き方の選択肢を整備するとともに、働きに応じた公正な評価・処遇の仕組みを確立し、個々の労働者が主体的にキャリア形成を図りつつ働き方を選択できるような環境の整備を社会全体として進めていくことが必要であろう。