要 旨: 桜という花は日本のシンボルの花と言われている。桜の特質を言えばその色淡赤にしていや味なく、毒々しいからず、ぱっと咲いてまたぱっと散る。群を成すに適して満山皆花の壮観を呈出する。
一株の花は弱弱しく見えるが、数え切れないほどの花からなる桜の雲は実に壮観そのものである。日本人もそうである。一人一人は謙遜で、才覚も同じ学歴の外国人と大きな違いはないが、多くの日本人からなる団体となると、整然たる軍隊のように大きな力を持つようになる。
桜についての研究がたくさんある。桜の外観的な特徴から桜に映された精神に至るまで桜の起源から進化まで国内外の有名な学者が研究している。佐藤俊樹に著作しられた『桜が創った日本』という本の中にはソメイヨシノを例として詳しく桜の各方面の特徴を紹介している。今の日本に多く見られるソメイヨシノとは江戸から明治にかけて人工的に作られた桜であることはよく知っている。更に、この本でソメイヨシノが日本全国に広がっていく過程は日本の国家形成と同一の歩調が分かる。明治、大正、昭和と進むにつれ、桜は日本の象徴として取り上げれる。日本人の国民性、精神性との結びつきが強固になっていくことも了解している。「日本の桜の花は国民の精神を涵養し、いわゆる大和の美を発揮し、国民性を表現している。」を述べている。けれども、ただ簡単に言及しているだけである。桜はいったいなぜ日本人の国民性を表現しているのだろうか。