要 旨:堀辰雄の『聖家族』に対する先行研究は不足と思われる。彼の文章に対する先行研究は主に『菜穂子』に集中された。だから、これは私が論文を作成したとき遭った一番大きな難点になった。だが、『聖家族』は堀辰雄の出世作として、彼の生活体験と精神的な体験も含まれた作品である。私は「どんな体験で堀辰雄がこの作品を書いたか」こういう問題を気が乗って、そして、『聖家族』の中に表現した「人生観」と「恋愛観」を通じて、堀辰雄自分の人生観と恋愛観を研究しはじめる。
文章の中に、「人生観」と「恋愛観」を表現する部分は多いであるけれども、全部に述べることは無理だと思われる。そして、私は一部分の例を研究して、私発見した堀辰雄の人生観と恋愛観を述べていく。
キーワード:『聖家族』 恋愛観 人生観
堀辰雄は日本新心理主義の代表作家である、彼は早くから芥川竜之介に師事していた。堀辰雄は昭和二年の芥川竜之介の自殺事件から大きな衝撃が受けた。そして、それを動機として、『聖家族』を書いた。さらに、当時作者自身の恋愛体験もふくまれ、だから、『聖家族』は二つの主題がある。すなわち「死」に対して乗り越えることと「愛」の苦しみである。
『聖家族』は新しい心理主義の作風の上に主題を展開した作品である。その心理解剖の新しさと文体の新鮮さによって、発表当時大きな賞賛を受け、そして、出世作となり、横光利一の『機械』と共に、昭和初年の心理主義的作風を代表する作品となった。